法人を設立する際には、営利法人や非営利法人などさまざまな法人があり、どの法人にすべきか悩まれている方もいらっしゃると思います。
この記事では、法人の種類やそれぞれの特徴について解説します。
法人は、大きく分けて「公法人」と「私法人」の2種類あります。
私法人に関しては、営利法人(営利を目的とする)と非営利法人(営利を目的としない)の2つに分けられます。
公法人とは、行政目的のために公の事務を行うことを目的としている法人です。
主に以下のような法人が該当します。
公法人は、行政目的を達成する手段に制限を設けておらず、法令による制限がなければ営利目的として直営の事業を営むことも可能です。
私法人とは、私的な目的のために設立する法人です。
行政や公共を目的としないため、国家による管理・統制は加えられません。
また、営利法人は構成員(法人を構成している人)への利益分配を目的としており、主に以下の4つが該当します。
構成員とは、法人を構成している人であり、株式会社であれば株主、合同会社であれば社員というように、会社や団体へ出資した人を指します。
株式会社は、株式を発行して購入してもらうことで資金を集め、事業を運営している法人です。
株式を購入した人を「株主」と呼び、株主から経営を委託された者が経営者となり、事業を行います。
また、経営者自らが出資して事業を運営する一人株主でも設立は可能です。
合同会社は、2006年に会社法改正により新しく導入された会社形態であり、出資者と経営者が同一の者が事業を運営する法人です。
設立費用も株式会社と比較すると安く抑えられるメリットがあります。
また、合同会社の設立には、公証人の認証が不要なので、4~5日程度で法人化することも可能です。
有名な合同会社には、Google合同会社やApple Japan合同会社などがあります。
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の2名以上で事業を運営する法人です。
無限責任社員および有限責任社員は、会社の負債を負う範囲によって分かれます。
合資会社を設立する際には、会社の負債をすべて負う「無限責任社員」1名以上と、出資額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任社員」1名以上が必要です。
他の会社のように1名で設立できない点に注意してください。
合名会社は、資本金の出資者全員が無限責任社員のみで事業を運営する法人です。
複数の個人事業主が集まって事業を運営している形態といった方がイメージしやすいかもしれません。
ただし、倒産時のリスクの高さや、知名度の低さから信用度も低い傾向にあり、多くの事業者が他の形態を選択しています。
私法人の非営利法人とは、私的な目的のために設立され、営利を目的としない法人であり、構成員に対して利益分配は行いません。
非営利法人では事業で利益を得ることも可能ですが、構成員への利益分配を目的としていないため、事業で得た利益は従業員や運営資金に使われます。
NPO法人とは、私法人の非営利法人であり、法律の範囲内でのみ活動が許されている法人です。
主なNPO法人として、公益社団法人日本ユニセフや国境なき医師団などが有名です。
設立には資本金や登録免許税が必要なく、少額でも設立可能となっており、主な収入源は会員の会費です。
一般社団法人は、事業目的に制限はなく、営利を目的としない法人です。
ただし、利益を出すことに対して制限されていないため、利益事業や公営事業を行うことも可能です。
主な一般社団法人として、一般社団法人日本損害保険協会や一般社団法人日本自動車工業会などが有名です。
一般財団法人とは、財産に対して法人格を与えられている非営利法人です。
設立時には、300万円以上の財産を拠出しなければならず、理事3名、評議員3名、監事1名の計7名が最低でも必要です。
公益社団・財団法人とは、一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査を経て、行政庁から公益認定を受けた法人です。
今回は、法人の種類やそれぞれの特徴について解説しました。
法人を設立する際には、活動目的や営利を目的にするのか否かによっても選択肢が異なります。
新たに会社を設立しようと悩みや困りごとを抱えているのであれば、税金に詳しい税理士に相談することをおすすめします。