生命保険は、家族の万が一に備えるだけでなく、相続税や所得税の節税対策にも活用できます。
生命保険を賢く活用することで、将来の税負担を軽減することが可能です。
そこで、本記事では、生命保険を利用した節税対策の基本的な仕組みから具体的な方法、注意点までを詳しく解説します。
生命保険料控除の種類は以下の通りです。
一般生命保険料控除は、その名の通り、死亡保険などと言った死亡に対して保険金が支払われる保険に対する控除をさします。
そして、介護医療保険料控除は医療保険や介護保険といった、医療費に対して保険金が支払われる保険に対する控除をさします。
そして、個人年金保険料控除は、老後の年金保険といった個人年金保険料税制適格特約を有した保険に対する控除をさします。
この種類によって、控除額の計算方法や上限が異なるため、注意が必要です。
生命保険を利用した場合、さまざまな場面で税負担を軽減することが可能となります。
特に、所得税、住民税や相続税といった税金を節税することが可能です。
そこで、以下で、それぞれの節税の詳細について解説します。
生命保険を利用した節税対策の一つ目は、相続税の非課税枠の活用です。
生命保険金は、相続税の対象となる財産に含まれるため、原則、生命保険金に対しても相続税が課されます。
一方で、特定の条件を満たす場合に非課税枠が適用されます。これにより、相続税の負担を大幅に軽減できる場合があります。
相続税はまず、3000万円+(600万円×法定相続人の数)の式で計算される、基礎控除があります。
そして、これに加え、500万円 × 法定相続人の数の式で計算される生命保険金の基礎控除額があります。
具体的な例をあげると、法定相続人が3人の場合:500万円 × 3人 = 1,500万円となり、生命保険金1,500万円までは非課税となります。
この非課税枠を活用することで、基礎控除に加え、非課税枠の部分にも非課税の相続財産が加わるため、大きな節税となります。
生命保険の非課税枠の注意点としては、非課税枠は、被相続人(保険契約者)が死亡し、受取人が法定相続人である場合に適用されます。
したがって、相続人以外が受取人になる場合は非課税枠が適用されないため注意が必要です。
生命保険を利用した節税対策の二つ目は、所得税の控除です。
生命保険料の支払いは、所得税計算時に生命保険料控除を利用することで節税が可能です。この控除制度を活用することで、毎年所得税の支払いが、数万円控除されるため、税負担を軽減できます。
控除額は、支払った保険料の額によって異なります。
所得税の場合は、保険料が2万円以下の場合、控除額は保険料額全額、2万0001円から4万円以下の場合は、保険料額に2分の1を乗じ、1万円を加えた額、4万0001円から8万円以下の場合は、保険料額に4分の1を乗じ、2万円を加えた額、それ以上は一律4万円となります。
したがって、所得税の最大控除額は、4万円となるため、保険料額が8万円を大きく上回っても控除額は4万円から変化はない点に注意が必要です。
これに加え、所得税の控除額は、所得から差し引かれるため、合計の所得が少なくなり、結果的にそもそもの所得税額が減額される場合もあります。
生命保険を利用した節税対策の三つ目は、住民税の控除です。
住民税も所得税と同様に、生命保険の保険料に応じて、控除額が変動します。
住民税の場合は、保険料が1万2000円以下の場合、控除額は保険料額全額、1万2001円から3万2000円以下の場合は、保険料額に2分の1を乗じ6000円を加えた額、3万2001円から5万6000円以下の場合は、保険料額に4分の1を乗じ、1万4000円を加えた額、それ以上は一律2万8000円となります。
したがって、住民税の控除額の最大は2万8000円になるため、保険料額が5万6000円を大きく上回っても控除額は2万8000円から変化はない点に注意が必要です。
本記事では、生命保険を利用した節税対策について解説しました。
生命保険は、相続税の非課税枠や生命保険料控除を利用することで、所得税・住民税から相続税に至るまで、幅広い税金の負担を軽減できる可能性があります。
しかし、名義設定や非課税枠の計算ミスが思わぬ課税を招くこともあるため、あらかじめ生命保険による控除についての知識を持ち、計画的に運用することが求められます。
そこで、生命保険を利用した節税を検討する際は、税の専門家である税理士に相談し、効果的に生命保険を利用した節税を行うことをおすすめします。